フォーラム

平成28年度開催のフォーラム

平成28年12月3日
社会貢献フォーラム「『大規模災害に備えて』〜助け合える地域づくりを〜」 in 岐阜

フォーラムの詳細が、岐阜新聞(12月27日付)に掲載されました。

12月3日(土)岐阜市じゅうろくプラザにて、社会貢献フォーラム「『大規模災害に備えて』〜助け合える地域づくりを〜」を開催した。参加者は300人を超え、盛会裏に終了した。

フォーラムは、主催者を代表して岐阜新聞社 林 壮夫執行役員広告局長が開会のあいさつをした後、第1部「一人ひとりができること」と題しアルピニストの野口健さんの講演から始まった。

講演では、東日本大震災の折、毎日TVの悲惨な状況の放送を見ていて心が折れそうになったが、何か自分できることはないかと考え、一つ見つけた。それが被災地に寝袋を届けることだった。2015年4月ヒマラヤに登山中ネパール地震に遭遇した。外国の登山隊が続々と帰国する中、ここでも何か自分でもできることはないかと考え、報道されていないヒマラヤ街道の現地の様子をカメラで収め伝えることと、家を失くした人たちに大型テントを届けることを思いついた。2016年4月の熊本地震でも、熊本にテント村を作ることにした。被災地では車中泊をされる方が多く、避難所ではプライバシーもない。そこで、テント村ならプライバシーも確保できるし、キャンプ場のように明るい雰囲気を作ることができる。海外の避難所はテントが多い。海外ではアウトドア活動に馴染みがあるのでテントに馴染みやすい。日本ではアウトドア活動に非常に距離がある。避難生活はまさにアウトドア活動。

東日本、ネパール、熊本と経験して、震災から3日間自力で生き延びれば日本では助かる。行政が助けに来てくれる。日本でも一家に一張りのテントと寝袋を備えているといいと思う。アウトドア活動で自然と普段から接している子供は何かあったときにも強い。

テント村を避難所の一つの選択肢としてこれからも伝えていきたいと語り、第一部を終了した。

第2部は、「『大規模災害に備えて』〜助け合える地域づくりを〜」をテーマに、パネリストとして、岐阜県遊技業協同組合の大野春光理事長、岐阜新聞社の一川哲志論説委員長、岐阜大学の髙木朗義教授、アルピニストの野口健さん、コーディネーターのぎふチャンの加藤義久アナウンサーの5人によるシンポジウムが開かれた。

まず最初に、岐阜大学の保安消防隊が行っている社会貢献活動を、保安消防隊の学生2名(加納さん、佐藤さん)が発表を行った。

加納さんは、「自分たちの大学は自分たちで守る」をスローガンに保安消防隊が学内や学外で防災ボランティア活動を行っていることについて報告した。

佐藤さんは、大学内で女性向けに行った「防災女子カフェ」について報告し、カフェで保存食を提供したり、応急手当を体験したり、災害時に手持ちの食料から3日間の献立を考えたりする練習をしたことを報告した。

続いて、岐阜県遊技業協同組合の大野理事長は、全日本遊技事業協同組合連合会が全国で行っている社会貢献活動や災害時の取り組みなどを報告し、また岐阜県遊協が県内で行っている社会貢献活動として、毎年岐阜県の愛のともしび基金に寄付を行っていることや、老人介護施設へのリハビリプログラムとして「あいぱちプロジェクト」を行っていること、2002年の大規模山林火災では「緑の山再生プロジェクト」に全面的に協力してきたこと、柳ケ瀬商店街に防犯カメラを寄贈したことなどの取り組みを報告し、社会に「恩返し」と言う形でこれからも社会貢献活動を続けていかないといけないと感じている。行政がすぐにはできないことを、速やかな意思決定でタイムリーな支援ができるメリットが業界団体にはあり、そのことを期待されていると語った。

岐阜新聞社の一川論説委員長は、県内の社会貢献活動として、先々の不安や死の恐怖という心の痛みを和らげる役目を担う臨床宗教師の活動やフードバンクの取り組みを報告した。

野口さんは、富士山の清掃活動も最初は年間100人ほどだったが、16年目には7000人に広がった。活動を続けながら人と人の輪をどう広げていくかが最大のテーマであると感じている。また、震災時はスピードが勝負。震災前から意思決定ができるように準備しておくことが必要と語った。

岐阜大学の髙木教授は、社会貢献活動は学校教育の中でも見直され、岐阜大学でも次世代の地域リーダーを育成するというプログラムがあり、人材育成に欠かせない活動となっている。自ら行動する姿、挑戦する姿は見る人の心を動かし、大きな動きになる。最初は一つの点でも線になり面となり、やがて大きなムーブメントとなって地域を創っていくと語った。

シンポジウムは、コーディネーターのぎふチャン加藤アナウンサーの的確な司会で進行し、予定の80分があっという間に経過した。
フォーラムの最後に、全日本社会貢献団体機構 理事 松尾守人が閉会の挨拶をして2時間20分にわたるフォーラムを終了した。

参加者からは、「一人ひとり何ができるのか。自分たちで命を守るために何を事前に準備しておくのか。参考になった」「岐阜大学生の自分の身は自分で守るという考え方を広めていく必要があると感じた」「地域の防災活動に参加しているが、このフォーラムを聞いて改めて貢献できることは何かと考える機会になった」等の感想が寄せられた。

会場では全日本遊技事業協同組合連合会の社会貢献活動や全日本社会貢献団体機構の助成事業の資料を展示し来場者の高い関心を呼んだ。